フランスのベストセラー感動小説「優雅なハリネズミ」レビュー
「今世紀フランス最大のベストセラーを記録した感動物語」という紹介文に惹かれ、「優雅なハリネズミ」ミュリエル・バルベリ (著)というフランスでベストセラーになった感動小説を読みました。
レビュー
海外小説の魅力
フランスの海外小説は初めて読んだのですが、フランス人らしい(?)主人公二人の哲学的な考え方や階級制度の存在に最初の方はすこし戸惑いましたが、すぐに慣れて物語の世界に入り込めました。
戸惑ったといっても、このあたりが日本人作家の小説では味わえない、海外の文化や価値観に触れられる海外小説の魅力なのかもしれません。
日本人が登場
著者のミュリエル・バルベリはフランス人の作家なのですが、日本と日本文化に興味を持ち、2008年には日本に移住して暮らしているそうです。
この小説にも日本人が重要な役割で登場します。主人公が音楽の流れるトイレに驚く場面などは、日本人が読めばより一層楽しめると思います。
魅力的な二人の主人公
夫と死に別れた54歳の高級アパルトマン(アパート)の管理人ルネと、同じアパルトマンに住む自殺願望のある12歳の天才少女パロマの二人の主人公の場面が交互に語られるのですが、どちらも自分の価値観をしっかりと持っていて、「なるほどなぁ...」と共感できる価値観も多くありました。
特にパロマにはつい感情移入してしまう不思議な魅力がありました。
世界的な評価
第二作となる本書は、2006年にフランス、ガリマール社より小部数で刊行され、目立った宣伝活動が無かったにもかかわらず、口コミで徐々に評判となり、やがてベストセラーの1位を記録。その後100週以上も上位にとどまる快挙を成し遂げ、2007年にはフランスの書店員による投票で決まる Prix des libraires (書店員賞)に輝いた。本国フランスで130万部、イタリア60万部、韓国10万部と世界的なベストセラーとなっている。
著書紹介ページより