あまりに切ないミステリー小説「白砂」のレビュー・感想
本屋でおすすめしていた小説「白砂」鏑木蓮 (著)を読んでみました。
あまりに哀しく、美しいラストに涙腺崩壊!!
帯の紹介文より
ミステリー小説なのに涙腺崩壊とは珍しい組み合わせだな、と思いながら読んだのですが、確かにミステリーとしての予想を超える結末や涙を誘う哀しいシーンが両方あってとても重厚なストーリーでした。
心に残ったセリフ
一度の負けで絶望するやつは、一度勝っただけで、
すべてに成功したとうぬぼれる人間と同種だ。作中より
捜査が思うように進展しないときに、刑事の主人公が部下に言ったセリフです。
ストーリー的にはあまり重要なシーンではないのですが、とても良いセリフだったので忘れないようにここで紹介することにしました。
レビュー
※以下はネタバレを含みますのでご注意ください
まずなんといっても小夜が可愛そうでならないです。。。物語の最初から殺された状態だったのでまだましなのかもしれませんが、クライマックスで殺されてしまうような展開だったらそれこそ涙腺崩壊だったでしょう。
ちなみに「小夜」の読み方がわからずに結局最後まで頭の中では「こよ」と読んでいました(絶対違うとはわかっていたのですが...)。正しくは「さよ」でしょうね。
ミステリーとしても面白かったです。犯人は途中でなんとなくわかってきてしまうので、最後にアッと言わせるようなどんでん返しを期待していました。期待を裏切らない衝撃的な事実がとても読み応えがありました。
代理ミュンヒハウゼン症候群
犯人は結局この病気だったのでしょうか。この小説を読んで初めてこの病名を知りました。気になったので少し調べてみました。
まず、ミュンヒハウゼン症候群とは自分に周囲の関心を引き寄せるためにケガや病気を捏造する症例のことを指します。代理ミュンヒハウゼン症候群は傷つける対象が自分ではなく他人になります。
ミュンヒハウゼン症候群と同じく自分に周囲の関心を引き寄せるためにケガや病気を捏造する症例だが、その傷付ける対象が自分自身ではなく身近の者に代理させるケースをいう。この症例は子を持つ母親に多く見られ、その傷付ける対象の多くは自分の子であり、子に対する親心の操作であったり、懸命または健気な子育てを演じて他人に見せることによって周囲の同情をひき、自己満足することも挙げられる。
代理ミュンヒハウゼン症候群(ウィキペディア)