孤独死について考えさせられた小説「エンドロール」の感想

あまりに切ないミステリー小説「白砂」のレビュー・感想で紹介した小説がとてもおもしろかったので、作者の鏑木蓮の他の小説も読んでみたくなり、「エンドロール」を読みました。

小説のテーマは孤独死と戦争です。重いテーマなのですが、読んでいても辛くならず、先の展開が気になって結局一気に読んでしまいました。

心に残ったセリフ

死に様より生き様を見ろ

作中より

孤独死というと、最期を誰にも看取られずに可哀想、と同情してしまいがちです。

しかし、人間誰しも一人で生きていたということはありえず、その人の人生を振り返ればたくさんの人と関わりながら生きてきたことがわかるはずです。

人生を映画だとすると、エンディングのエンドロールでは人生で関わったたくさんのキャストが出てくるわけです。

最期が孤独だったとしても、孤独だと感じていたかどうかは本人にしかわかりませんし、亡くなってしまえば確かめようもありません。

孤独死だからといって、その人の人生まで否定してしまうような考えは避けるべきだとこの小説を通して改めて感じました。

レビュー

※以下はネタバレを含みますのでご注意ください

小説のタイトルはもともとは「しらない町」だったようですが「エンドロール」のほうが内容にマッチしているように感じました。

最後の帯屋老人の「映画が教えてくれたこと」はとても考えさせられる内容で、同時にとても感動しました。どんなフィルムにも終わりを迎えるということや、映画はエンディングだけ見て判断するべきではない。という考えは、この小説を読んだ読者のこれからの人生に良い影響を与えてくれると思いました。

人間機雷(伏龍)

特攻というと飛行機を思い浮かべますが、伏龍は水中に潜って潜水艦を攻撃する特攻です。

今回この小説を読んで初めてこの作戦を知りました。小説の中だけでの話であってほしかったのですが、実際にこの作戦が計画されていたようです。

高齢者に女性のような名前の男性が多い理由

この理由も小説を読んで初めて知りました。わざと女性っぽい名前をつければもしかしたら徴兵を免れるかもしれないという親心も、当時の時代を感じ、とても悲しくなりました。

また、どんな名前にも親の願いが込められていて、ニュースなどで凶悪犯の名前が出ると、名前とのギャップに悲しくなる。という甲山の感情にはとても共感できました。

約300ページの短い小説だったのですが、ストーリーに心を動かされただけでなく、戦時中の知らなかったこともたくさん知ることができ、出会えてよかったと感じた小説でした。


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