心温まる人生の物語「幸せなひとりぼっち」の感想
全世界で250万部突破した心温まる小説「幸せなひとりぼっち」を読みました。
終始楽しみながら読むことができました。しかしその一方で最後はとても感動しました。悲しさによる感動というよりも、人々の温かさに心が温まったという感じでした。
この物語の主人公である無愛想で頑固なおじさんが、妻に先だたれ、生きる希望を失っていたのですが、隣人や猫に触れ合って心の温かさを取り戻していくストーリーなのですが、自分自身の心も主人公と一緒に温かくなりました。
文章が面白い
笑いが止まらない!コメディ小説「窓から逃げた100歳老人」や期待を裏切らない面白さ!コメディ小説「国を救った数学少女」で紹介した小説と同じく、作者はスウェーデン出身です。
訳者の功績でもあると思いますが、ストーリーはもちろんのことなのですが、文章自体が読んでいてとても楽しめました。
「穴があったら入りたい」に対して、「穴があったら埋めてやりたい」という返しにはとても笑いました。
スウェーデン人は読んでいて面白い文章を書くのがうまいのかもしれません。
心に残った文章
コンピューターがなければ設計図ひとつ出来上がらない時代より、
コンピューターなしにエッフェル塔を作れた時代のほうが真っ当だと思っていた。訳者あとがきより
作中ではなく訳者によるあとがきの文章なのですが、とても印象に残りました。
「今時の若者は〇〇もできない。」と言った感じで若者を批判するのを耳にしますが、それは時代の流れとして受け入れていかなくてはならないと感じます。
極論ですが大昔の人からしたら「21世紀の人間は火を起こすこともできない。」ということになります。なくても困らないスキルはどんどん廃れていき、できなくて当たり前になってしまうのでしょう。
世代を超えたふれあいの大切さ
この小説を読むまでは上記のように考えていました。しかし、作中では主人公が近隣の人たちの家や車や自転車の修理を行うのですが、そのやり取りを読んでいて主人公がとても頼もしく思えました。
「今時の若者は〇〇もできない。」と言った感じで若者を批判するのではなく、逆に「周りの人たちができないことが自分にはできる」ということを誇らしく思ってほしいと感じました。
昔はできて当たり前だったことが今では当たり前ではなくなっている。見方を変えれば、昔はできて当たり前だと思っていたスキルが現在では実はすごいことであるという可能性があります。
この小説のように、若者と年配者がふれあうことでお互いが自分の長所を発見できることがあると思います。