本や言葉が好きな人に読んでほしい小説5冊
本を読んでいると、別の本を読みたくなることがあります。今回は、本や言葉が大事な役割を持つ小説を5冊紹介します。
手紙、辞書、古い本など、出てくるものは違いますが、どの作品も「言葉を誰かに届けること」について考えたくなりました。
ツバキ文具店/小川糸
鎌倉で文具店を営みながら、手紙の代筆をする女性の話です。依頼を受けて、相手に伝えたいことを手紙にするのですが、ただ文章を上手に書けばいいわけではありません。
謝りたい、感謝を伝えたい、それでも自分ではうまく言葉にできない。そんな気持ちを手紙にしていくところが好きです。最近は手紙を書く機会がほとんどありませんが、紙を選んで文字を書くことにも意味があるのだと思いました。
舟を編む/三浦しをん
辞書を作る人たちの小説です。言葉を集め、意味を考え、例文を確かめる。辞書は普段何気なく使っていますが、一冊ができるまでにこれほど手間がかかるとは思いませんでした。
主人公の馬締は、仕事でも私生活でも少し不器用です。でも、言葉に対する真面目さが周りの人にも伝わっていくところがいいです。読み終わると、辞書を開いて、いつも使う言葉を調べてみたくなります。
本を守ろうとする猫の話/夏川草介
祖父の古書店を継ぐことになった少年の前に、突然猫が現れます。猫に頼まれて本を救いに行くという、不思議な冒険が始まります。
本をたくさん読むことと、本を大切に読むことは同じなのか。物語の中で出会う人たちを見ていると、自分はどうやって本を読んでいるだろうと考えます。難しい話ばかりではなく、猫とのやり取りも楽しめる作品です。
あの本は読まれているか/ラーラ・プレスコット
小説『ドクトル・ジバゴ』をめぐって、人々が動く物語です。一冊の本が政治と結びつき、読むことそのものが大きな意味を持つ時代が描かれます。
普段は読みたい本を選べるので、本を誰かに届けるために危険を冒すという感覚は、すぐには想像できませんでした。本の内容だけでなく、その本が読者の手に届くまでの話として面白いです。歴史を背景にした作品が好きな人にもおすすめします。
さがしもの/角田光代
本と人の関係を描いた短編集です。表題作では、病床のおばあちゃんに頼まれた本を、少女が探し回ります。
本を探す話ですが、大切なのはその一冊を欲しがった人の気持ちなのだと思います。同じ本でも、誰から渡されたか、いつ読んだかによって、残り方が違います。長編を読む時間がないときにも、一編ずつ読めるのがうれしいです。