戦争の中で生きる人を描いた小説5冊

戦争を扱った小説は読むのに力がいります。それでも、教科書の出来事だけではわからない、一人ひとりの生活を考えるきっかけになります。特に印象の強かった5冊を紹介します。

同志少女よ、敵を撃て/逢坂冬馬

独ソ戦で母を殺された少女セラフィマが、狙撃兵として戦場へ向かう物語です。復讐から始まったはずなのに、戦争の中で敵とは誰なのかが少しずつ揺らいでいきます。

女性が戦場で受ける暴力も描かれていて、爽快な戦争小説ではありません。セラフィマが強くなるほど安心するのではなく、そうならなければ生きられない状況がつらく感じました。

アウシュヴィッツの図書係/アントニオ・G・イトゥルベ

本を持つことも許されない収容所で、少女ディタが8冊の本を守ります。食べ物や命の危険がある場所で本がどれほど必要なのか、読む前は少し不思議でした。

しかし、人間らしく考える時間まで奪わせないために、本や授業が大切だったのだと思います。実際の人物をもとにしていることもあり、読み終えたあとに重さが残りました。

永遠の0/百田尚樹

戦争で亡くなった祖父、宮部久蔵について、孫が元戦友を訪ねて調べていきます。生きて帰ることにこだわった人が、なぜ最後には特攻へ向かったのかが物語の中心です。

証言する人によって宮部の印象が変わり、最初から一つの人物像にまとめられないところが面白かったです。零戦の戦闘場面だけでなく、残された家族についても考えさせられました。

宝島/真藤順丈

米軍統治下の沖縄で育った幼なじみたちの物語です。戦争が終わればすぐ平和な日常に戻ったわけではなく、沖縄にはその後も別の苦しさが続いていたことが伝わります。

登場人物の勢いと沖縄の言葉に引っ張られますが、描かれている出来事はかなり重いです。知らなかった時代のことを、そこに暮らす人の怒りや悲しさから知る一冊になりました。

東京ダモイ/鏑木蓮

自費出版に持ち込まれた原稿から、シベリア抑留と現在の事件がつながっていくミステリーです。「ダモイ」はロシア語で帰還を意味します。

帰国できればすべて終わるわけではなく、長い間話せなかったことが人の人生に残り続けます。謎を追って読み進めながら、戦争の後にも時間は続いているのだと感じる作品でした。


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