仕事に打ち込む人の姿が印象的な小説5冊
自分の知らない仕事を、小説の中からのぞけるのは楽しいです。派手な成功だけではなく、迷いながら仕事を続ける人が印象に残った5冊を紹介します。
羊と鋼の森/宮下奈都
高校でピアノ調律師と出会った青年が、自分も調律師になって成長していく物語です。音を文章で表現する場面が多く、静かな森の中にいるような雰囲気があります。
才能があるかどうかをすぐ決めるのではなく、目の前の仕事を繰り返す姿がよかったです。目立たなくても、誰かの演奏を支える仕事に誇りを感じました。
火花/又吉直樹
売れない芸人の徳永が、先輩芸人の神谷に惹かれ、行動を共にします。笑いにこだわる二人ですが、同じように続けていても結果は同じになりません。
好きなことを仕事にする楽しさより、続ける苦しさのほうが強く残りました。それでも舞台に立とうとする姿には、簡単にあきらめられない人の気持ちが出ています。
ノースライト/横山秀夫
建築士が心を込めて設計した家に、なぜか誰も住んでいない。施主の行方を追うところから始まる小説です。
建築のミステリーとして先が気になりますが、自分の仕事を誰がどう受け取ったのかという話でもあります。家は完成した瞬間で終わらず、そこで暮らす人がいて初めて意味を持つのだと思いました。
楽園のカンヴァス/原田マハ
一枚の絵が本物かどうかを、二人の研究者が競って判定します。美術の知識がなくても、絵に隠された物語を追うミステリーとして楽しめました。
研究者が作品を見る熱量が伝わり、美術館で絵を見るときの気持ちが少し変わります。本物か偽物かだけでなく、作品を信じる人の情熱が印象的でした。
本日は、お日柄もよく/原田マハ
結婚式のスピーチに心を動かされた会社員が、スピーチライターの仕事に関わっていきます。
言葉だけで人の気持ちを動かせるというのは少し理想的にも思えますが、何を伝えるかだけでなく、誰にどう届けるかが大切なのだと感じました。人前で話すのが苦手な人にも面白い仕事小説です。
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