感動のベストセラーミステリー海外小説「忘れられた花園」レビュー

様々な本で紹介・絶賛されていた小説「忘れられた花園」ケイト・モートン (著)がとてもおもしろかったので、紹介・レビューします。

サンデー・タイムズ・ベストセラー第1位

Amazon.comベストブック

オーストラリアABIA年間最優秀小説賞受賞

帯の紹介文より

紹介

いろいろな本でこの小説が紹介されるたびに興味を引かれたのですが、綺麗でミステリアスな雰囲気な表紙のイラスト、「忘れられた花園」という題名、上下巻ある長編などの要素から、気軽には読めなそうだなと思い、後回しになっていました。

しかし、実際に読んでみると、すぐに独特の世界観に引きこまれ、夢中になって読むことが出来ました。(寝不足注意です!)

3人の魅力的な女性主人公

本書では、主人公ネルの出生を3つの時代・視点から明らかにしていきます。

過去の出生の秘密を探るネル、ネルの孫のカサンドラ、ネルの出生の手がかりとなるお伽噺(おとぎばなし)の作者イライザの3人の、それぞれの時代での物語が絡み合いながら同時に進んでいきます。

3人の主人公に共通して、つい感情移入してしまう魅力がありました。イライザは特に魅力的で、イライザの壮絶な人生に一喜一憂していました。

名作へのオマージュ・パロディ

イライザの幼少期はなんとなくチャールズ・ディケンズの小説「オリバー・ツイスト」を思い浮かべました。訳者あとがきでも、まさにそのことが言及されていてびっくりしました。私はこの一箇所しかわかりませんでしたが、他にも歴史的名作へのオマージュが至るところに散りばめられているようです。文学に詳しい人なら、ストーリーに加えてこのようなオマージュ探しも楽しめると思います。

レビュー

※以下はネタバレを含みますのでご注意ください

イライザ・メイクピース

イライザのストーリーが一番おもしろかったです。彼女のローズへの歪んだ友情はやはり弟のサミーのことが原因なのでしょうか...唯一の良き理解者である庭師のデイヴィスはどのように思っていたのでしょうか。

個人的にはデイヴィスにはもっと活躍して欲しかったです。

アデリーンを罵倒してイライザの遺体はデイヴィスがあの庭にひっそりと埋葬するシーンや、訳者あとがきにあるように、イライザがアイヴォリーと一緒に屋敷を離れるときにデイヴィスと別れるシーンなんてあったら涙せずにはいられなかったと思います。

ストーリーを通して女性が活躍し男性陣は不甲斐なかった印象でしたので、デイヴィスだけは違いを見せて欲しかったです。

ヘンリー・マンセル

影は薄いですが、ストーリーのキーポイントでは必ず絡んできた謎の人物。イライザの母親ジョージアナは「悪人(バッドマン)」として、注意するようイライザに教えていたようですが、このマンセルとジョージアナの間にはどのようなエピソードがあったのかが気になりました(そもそも面識があったのか)。

ヒューに手紙を送ってきたのもマンセルだったのですね。このことに気がついていればいろいろと途中で予想ができたかもしれませんが、最初読んだだけではわかりませんでした。

海外小説は日本の小説では味わえない魅力的なものがありますが、唯一登場人物の名前を覚えるのに一苦労です。

ドラマ化希望!

読み終わったあとはこの小説がドラマ化したらどんな感じになるんだろう...といった妄想をしていました。

イライザのストーリーはイギリスの名作ドラマ「ダウントンアビー」のような感じになりそうですね。ダウントンアビーが世界的な大ヒットを記録しているのならこの小説もドラマ化すればヒットする気がするのですが。


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